バイブの長さからして、着信。
スーツのポケットから、
スルリと取り出したそれには、
彼の名前が表示されていて。
うーん、今は気分じゃないからなあ、、
と、バイブを消す。
それでも、
健気に着信を知らせ続けてくれるそれ。
私はいらっとして、
その想いごとまたポケットにしまいこむ。
頭によぎる最悪の想像。
ーー10歩進んだ時に交通事故に合ったらーー
膨らむ妄想。
ーー死んだ私はこの電話、後悔するかもーー
ポケットへと急ぐ右手。
2回目の呼び出し音がなると、
聞き慣れた彼の声が全身に響く。
ーもしもし?
も、し、も、し!
ー電話ごめんね、大丈夫だった?
全然大丈夫じゃない
ーおっ不機嫌?
そう
ーあら、どうしたの
なんでもないし関係ないわ
ーそうなの
全然あなたと電話したくないよ!
ーあはは、じゃあなんで掛け直してきたの
え!
ーそれなら、かけなおさなくてよかったのに笑
あなた、最高だね