忘れていくことがもったいなくて、遊びに行った場所のチラシや、買ったものレシートを大切にカバンや財布にしまい、早速、しまったことすら忘れていく。
手帳に貼ろうと、カバンや財布からかき集めたものの、貼ることはただの作業にしか過ぎなくて、だんだん虚しくなってくる。
貼る作業に取り掛かると、このチラシはどこだっけ、誰と、いつ行ったんだっけ、と思い出そうとするのは間違いなく、それは楽しいのだけど。
ひとつわかったことがある。
忘れないように、と、物として思い出を残す作業は、逆に、頭から消していく作業と同等なのである。
貼ったから、また思い出せるよ。
見返せるから、忘れていいよ。
どうやら私の頭はそういうつくりになっているんだと、最近気付いた。
賢い人たちは、そうではないのかもしれないけど。
本当に忘れたくないことは、そんなことしなくても、ちゃんと覚えてる。